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法律知識

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検察審査会はどうなる?不起訴後に加害者側が確認すべき流れと対応

不起訴になったあとに “検察審査会に申立てがされた” “起訴相当の議決が出たらしい” と聞くと、事件はもう終わったはずではないのか、再び裁判になるのか、と強い不安を抱く方が少なくありません。加害者側にとって重要なのは、検察審査会が何を判断する制度なのか、どの段階で再起訴の可能性が生じるのか、そしてその時点でどのような弁護活動が必要になるのかを、順序立てて理解することです。検察審査会は、検察官の不起訴処分の当否を市民の視点で審査する制度であり、議決の種類によってその後の流れは大きく変わります。特に “起訴相当” と “起訴議決” は意味が異なるため、同じものとして受け止めてしまうと対応を誤りかねません。
以下では、刑事事件の加害者側という立場に絞って、検察審査会の基本、強制起訴までの流れ、実務上の注意点、弁護士に相談すべき場面を整理して解説します。

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1. 検察審査会とは何をする制度なのか


検察審査会は、検察官が事件を裁判にかけなかった “不起訴処分” が妥当だったかを、選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人が審査する制度です。加害者側にとってのポイントは、有罪か無罪を直接決める場ではなく、まず “不起訴のままでよいか” が見直される手続だという点です。



不起訴になれば完全に終わりではないの?


終わりだと考えてしまいがちですが、不起訴処分は直ちに絶対的な終局を意味するわけではありません。検察審査会では、その不起訴判断が適切だったかが審査されるため、事件が再び動き出す可能性があります。もっとも、申立てがされたから直ちに裁判になるわけではなく、まずは審査の結果を見極める必要があります。



どんな事件が審査の対象になる?


審査対象になるのは、刑事事件のうち検察官が不起訴処分にした事件です。裁判所の案内でも、傷害、詐欺、文書偽造、危険運転致死傷等を含む各種事件が対象になり得るとされており、加害者側としては “不起訴だから検察審査会とは無関係” と考えないことが重要です。



審査は誰がどう進める?


審査は非公開の会議で行われ、検察庁から取り寄せた捜査記録や申立人側の提出資料などを踏まえて検討されます。必要があると判断された場合には、審査補助員である弁護士が法的な説明や助言を行います。つまり、加害者側が直接その場で反論する手続ではなく、既存記録と提出資料への評価が中心になる点に注意が必要です。



2. 検察審査会でどんな議決が出るのか


加害者側が最初に区別すべきなのは、“不起訴相当”“不起訴不当”“起訴相当”“起訴議決” は同じ重さではないということです。特に “起訴相当” の段階では直ちに強制起訴ではなく、その後に検察官の再検討と第二段階の審査があり得ます。



不起訴相当なら安心してよい?


不起訴相当は、検察官の不起訴処分が相当だと判断されたことを意味します。この場合、加害者側にとっては最も安定した結果ですが、別事件や民事対応まで自動的に終わるわけではありません。処分結果の理解と今後の接触回避、示談条項の確認など、周辺対応は引き続き慎重に行うべきです。



不起訴不当や起訴相当が出るとすぐ起訴される?


すぐに起訴されるわけではありません。不起訴不当や起訴相当の議決が出ると、検察官が再度捜査を行い、改めて起訴・不起訴を判断します。したがって、この段階では “直ちに裁判開始” ではなく、“再評価の対象に戻る” と理解するのが正確です。



起訴相当と起訴議決は何が違う?


起訴相当は、まず検察審査会が “起訴すべきだ” と考えた第一次の判断です。他方、起訴相当に対して検察官が再度不起訴とした場合などに行われる第二段階の審査で、8人以上の多数により “起訴すべき旨の議決” が出ると、これが起訴議決となります。加害者側にとって本当に重い転換点は、この起訴議決の段階です。



3. 起訴議決が出たら加害者側はどうなる?


起訴議決が出ると、もはや単なる再検討では終わりません。裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって公訴を提起し、刑事裁判が現実化するため、加害者側は通常の公判対応を前提に防御方針を組み直す必要があります。



強制起訴とはどういう意味?


裁判所の案内によれば、起訴議決がされると、所在地を管轄する地方裁判所が検察官の職務を行う弁護士を指定し、その指定弁護士が起訴して訴訟活動を行います。これは一般に “強制起訴” と呼ばれ、検察官が不起訴とした事件でも公判に進む可能性があることを意味します。



起訴議決に不服があれば止められる?


ここは誤解が多い点です。最高裁平成22年11月16日決定は、検察審査会法41条の6第1項の起訴議決は公訴提起の前提となる刑事手続であり、その適否は刑事訴訟手続で判断されるべきもので、行政事件訴訟で争うことはできないと示しました。つまり、加害者側が “起訴議決そのものを行政訴訟で取り消す” という発想は基本的に採りにくく、実務上は公判での防御が中心になります。



いつから弁護方針を切り替えるべき?


少なくとも “起訴相当” が出た時点で、再捜査や第二段階審査を見据えた準備に入るべきです。事件の供述経過、客観証拠、示談の進捗、被害弁償、接触状況などを総点検し、起訴議決後に慌てて整えるのではなく、前段階から公判を想定した防御資料を整理しておくことが重要です。



4. 加害者側が実務で注意すべき対応ポイント


検察審査会は加害者側が自由に発言する公開の場ではないため、“何をしても変わらない” と放置するのも、“もう終わった話だから大丈夫” と油断するのも危険です。重要なのは、事件記録にどう見えるか、今後の裁判で何が争点になるかを見据えて、行動を整えることです。



被害者に連絡して説明すれば有利になる?


自己判断で連絡を取るのは危険です。謝罪や示談の意向があっても、接触の仕方によっては圧力、口裏合わせ、二次被害と受け取られ、かえって不利な事情として扱われるおそれがあります。接触の要否や方法は、必ず弁護士を通じて慎重に判断すべきです。



不起訴だった事情はそのまま維持される?


維持されるとは限りません。検察審査会の審査では、既存の捜査記録だけでなく申立人提出資料なども踏まえて不起訴の妥当性が見直されますし、起訴相当・不起訴不当の後には再捜査も予定されています。最初の不起訴理由がそのまま通用する前提で動くのではなく、弱点を再点検する必要があります。



どの段階で弁護士に相談すべき?


理想は、不起訴処分後に検察審査会への申立てや審査入りの情報を把握した段階です。少なくとも起訴相当が出た段階では、再起訴可能性を前提に、証拠関係の整理、供述の整合性確認、示談や賠償の設計、公判見通しの検討を始める必要があります。起訴議決後では準備時間が限られるため、早期相談の差は大きいといえます。



5. 検察審査会で不安を抱えたときの整理の仕方


加害者側にとって、検察審査会は “不起訴でもまだ終わらない場合がある制度” です。ただし、すべての申立てが強制起訴に進むわけではなく、議決の段階ごとに意味は異なります。焦って独断で動くよりも、いま自分がどの段階にいるのか、次に起こり得る法的変化は何かを正確に押さえることが先決です。



まず何を確認すればよい?


第一に、現在の段階が “申立て前後” なのか、“不起訴不当・起訴相当” なのか、“起訴議決” なのかを確認することです。第二に、不起訴の理由、示談や賠償の有無、供述調書や客観証拠の状況を整理することです。第三に、被害者との接触を自己判断で行わず、弁護士を通じて対応方針を一本化することが重要です。



刑事裁判になった場合に備えて何を残すべき?


当時のやり取り、金銭の支払記録、謝罪や示談に関する経過、診断書や録音等について把握している範囲の情報、取調べ時の供述経過などは早めに整理しておくべきです。時間が経つほど記憶が曖昧になり、説明の一貫性が崩れやすくなります。公判では細部の食い違いが信用性に影響するため、初動の整理が重要です。



検察審査会の案件で相談する意味はある?


あります。検察審査会そのものは非公開で進みますが、加害者側には、再捜査や起訴議決後の公判を見据えて不利事情を増やさない行動管理が求められます。制度の流れを知らないまま動くと、連絡方法や説明の仕方一つで立場を悪くすることがあるため、早期に刑事弁護の観点から状況を評価することに実益があります。


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